2010.08.17

日常にひそむ数理曲線 DVD-Book

私たちがいる現実とその裏にひそむ数理は、どのように関係しているでしょうか。

「日常にひそむ数理曲線」という科学映像は、日常と数学の関わり合い方を、面白い映像・うつくしい映像として見せることによって、日本人の理数離れに一矢を報いるために、Benesse教育研究開発センターと一緒に行ったプロジェクトです。

このプロジェクトの世の中への定着媒体として、DVD-Bookがとうとう完成しました。
映像はできていたのですが、内容をより面白く、より深くするための写真や解説を、小学館の力を得て、書籍という形で著しました。

 ・パラボラ(放物面)の形をしたヘラジカの角やメンフクロウの顔
 ・放物線が現れている鶴見虹子選手の北京オリンピックでの体操の演技
 ・食パンに見る反比例曲線
 ・セスナ機のプロペラをiPhoneで撮影した時に現れるタンジェント曲線
 ・スケボーの競技とサイクロイド曲線

などなど、とても興味深くも綺麗な曲線が書籍には収録されています。

進学を目の前に迎えている高校生、中学生。受験とは離れて、数学や物理の真の面白さ・美しさを知りたい大学生。授業で二次曲線や三角関数を楽しく示している教材を捜している教師の方々。本当は理科系にも興味はあるけど、なぜかくじけてしまった大人。そんな皆さんに、私と当時の慶応大学の佐藤雅彦研究室とユーフラテスとBenesse教育研究開発センターと小学館がおくる渾身のプロジェクトです。是非、ご覧になってください。

佐藤 雅彦

日常にひそむ数理曲線 DVD-Book

企画・制作 ベネッセ教育研究開発センター
      慶應義塾大学 佐藤雅彦研究室

監修    佐藤雅彦
装丁・本文デザイン 山本晃士ロバート
イラストレーション 山本晃士ロバート、石川将也
編集・執筆 佐藤雅彦+ユーフラテス
発行所 小学館

尚、DVDの言語は日本語ですが、英語字幕も付いています。
また、このDVDはリージョンフリーです。

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紀伊國屋書店
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2010.04.05

もぐらバス

うちのますみさんといっしょに絵本を作りました。
「もぐらバス」と言います。

とても、かわいらしい世界観そして物語です。
偕成社から4月頭に出版されます。

装幀は、ユーフラテスの貝塚智子さんです。

佐藤 雅彦

著者  : 佐藤 雅彦 + うちの ますみ
出版社 : 偕成社
定価  : 1,050円(5%税込み)

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2009.09.19

毎月新聞 中公文庫 版

10年ほど前に、毎日新聞の夕刊で連載し、単行本になった「毎月新聞」ですが、今でも、多くの方に読まれ、教科書にも載ったり、入試にも出題されたりしています。

本ができてから、だいぶ日にちも経ったので、文章をもう一度見直したり、毎号付けていた、日本や世界の「その月の出来事」を改訂し、持ちやすくかつ読みやすいように文庫化しました。
今日から、書店に並ぶようです。
根強いファンも多い「ケロパキ」という、子どもガエルの漫画も付録として追加しました。

自分でも何度も読み返していて、皆さんに、立ち読みでもいいので、読んでほしい項目があります。それを下に挙げておきます。
あと、出版社にお願いして、その内のふたつをインターネット上で読めるようにしてもらいました。
是非、読んでみてください。

佐藤 雅彦

第20号   デジタルとは何か?

第41号   隣の校庭

第18号   自分という密室

第31号   これを、〜とする

第34号   真夏の葬儀

第40号   オレンジの皮

第22号   情報の力関係

第42号   昼定食事件

↓中央公論新社・毎月新聞のURLはこちらです。
中央公論新社 「毎月新聞」 紹介ページ

↓amazonはこちらです。
「毎月新聞 (中公文庫)」(Amazon)

↓bk1は、こちらです。
「毎月新聞 (中公文庫)」(bk1)

出版社 :中央公論新社
サイズ :文庫版
ページ数:320ページ
定 価 :680円(本体価格643円)
発刊日 :平成21年9月19日
ISBN 978-4-12-205196-6 C1195

2009.08.23

福音館から毎月出ている「かがくのとも」の9月号に
ユーフラテスと一緒に作った新作を発表します。

「なにかがいる」というタイトルです。

私たちは、古代の人たちよりも格段に安全な環境で生活をしています。 普段、道を歩くときも、平らだということを前提にしていて一歩一歩注意深く 進むということはしていません。レストランで食事するときも、毒が含まれているかといったことは夢にも考えません。

太古の昔は、歩くことも食べることも生死に関わり、人間はそれに対しても全能力を発揮させていたに違いありません。そもそも人間には、想定されていない事象を感知する能力があり、その能力を使うことによって、多くの危険から身を守ってこれたのです。
例えば、藪に潜む猛獣の存在を、何か危ない気配がするぞと、いち早く感知して難から逃れたり、食物になる生物がうまく隠れていても、何かがいそうだと、それを察知して獲得するといったことをしてきたわけです。

しかし、社会制度や科学技術の発展から、我々は、鈍くても(今どきの言葉だとゆるく)生きられる環境を手に入れることができました。実は、この時、私たちは、その安全と引き換えに大事なものを失いかけています。
自分たちの能力をフルに使わなくても生きられるということは、生き生きと生きていないことにつながるのです。生きている感じのない生活、手応えのない無為な毎日、そういう現代人が味わっている空虚さの多くは、そこを原因としています。

この本は、こどもたちに「なんかやばそうだぞ」とか「なんかふつうじゃないぞ」といった気配を感じ取ること自体が人間にとって一種の悦びだということを知ってほしくて作りました。

こどもだけでなく、大人の方にも、とても面白いコミュニケーションデザインになっていると思います。是非、お手にとってご覧になってください。

かつて、養老孟司さんと対談した時に、「一日一回は人工物ではなく自然物を見なくてはいけない」と仰っていましたが、それはこの本の主旨と根底でつながっていることなので、この本の解説を今回お願いしたところ、名文を寄せていただけました。それはこの本に添付されている小冊子の方に載っていますので、それも楽しみにしていただけたらと思います。

佐藤 雅彦


かがくのとも 2009年9月号 福音館書店
「なにかがいる 」

なにかがいる

佐藤雅彦 +ユーフラテス 作
定価410円(本体価格390円)

「かがくのとも」は、購読している幼稚園や小学校、家庭に届くしくみですが、発売からしばらくは、書店でも買うことができます。

福音館書店の「なにかがいる」紹介ページ

2009.04.12

「差をとる」ことで新しい何かが生まれる
「差をとる」ことで新しい何かが分かる

差分


人間は、いろいろな感覚において、常に差を取り続けて生きています。動きが見えるのも、音楽が聴けるのも、物語を感じるのも、すべて差をとった結果なのです。差を取って初めて、それが可能になるのです。

この本では、静止画の組をたくさん開発・制作し、それを1組1組、読者の方に視覚情報として呈示します。そして、読者の方が、それらの図像の差分を取ったときに、ある新しい表象(=あじわったことのない気持ち)が生まれることをまず一番の大きな目的とし、その後でそれがどういう意味を持つのかということを鑑賞してもらうことを次の目的としています。

2〜5枚の絵を続けて見たときに、
ふいに立ち上がる我々内部の得体の知れない表象。

1頁1頁、じっくりご覧になり、また読み進めていってほしいと思います。

いっしょに研究し制作したのは、慶應大学の佐藤研の研究員だった石川将也と菅俊一です。3人で、この4年間、毎週毎週かかさず集まり作り続けました。私自身も、この書籍が、未来にどういう意味を持つのか、まだ計り得ないのですが、とにかく面白くて夢中になって作りました。慶應大学の佐藤研の名前で出版する書籍としては最終のものになります。是非、手にとっていただきたいと思います。本文中、内容的に必要なため、硬質塩ビ(アリンダ)の頁がたびたび登場しますので、それもご期待ください。価格が高いと思いますが、そのためです。


茂木健一郎さんは、この本に収録されている私との対談で、こう述べています。

……要するに、Aの中にもBの中にも存在しないんだけど、AとBの差の中にだけ見い出せるものがあるということですね。


私たちは、自分にどんな情報をいれるとどのように解釈(解答)をするのか、自分のことなのに、まったく分かっていません。そして、自分が出す解答に一番驚くのはもちろん自分なのです。『差分』は、それを知ることができる本なのです。

佐藤 雅彦


『差分』

出版社 美術出版社
頁数  210頁
著者  佐藤雅彦・菅俊一・石川将也
価格  本体2600円(税別)
Amazon.co.jp/差分

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